新時代のスタート
2003年6月に発表された待望のCAP改革案は、加盟予定国も含めた各国の利害関係の、まさに妥協の産物でしょう。
生産量に応じて助成金を払うことをやめたため、過剰生産のインセンティブはなくなりましたが、これにも例外規定があります。
農業担当委員のフランツ・フィッシュラーは、これを「新時代のスタート」と呼びました。
しかし、助成金の総額は変わっていない、結局、制度をより複雑にしただけ、との非難の声もあります。
欧州の気前のよい助成金は、発展途上国に深刻な損害をもたらしています。
農業生産高は域内人口の必要量をはるかに上回っており、余剰作物が発展途上国に大幅なダンピング価格で売られているからです。
途上国の農家はそんな助成金の恩恵を受けられないため、壊滅的な打撃を受けています。
オックスファム(国際援助NGO。旧称はオックスフォード飢餓救済委員会)によると、EUの砂糖管理体制は、「最も強力かつ明白なダンピングの例」でしょう。
EUは砂糖生産において世界で最も費用効率が悪い地域の1つですが、助成金のおかげで世界で2番目の砂糖の輸出元になっています。
これに最も痛手をこうむっているのは、モザンビーク。
砂糖は同国の主要輸出品目で、砂糖業界は国内で最大の雇用を生み出しています。
しかしEUは、本来ならモザンビークから砂糖を買うはずのアフリカ諸国に、数10万トンもの砂糖を輸出しているのです。
世界銀行では、EUの砂糖管理体制が世界の砂糖価格を17%押し下げていると推計しています。
